NHK「お元気ですか日本列島」の中で、16:45ごろから「気になることば」が放送されており、若者ことばやことばの正誤などを取り上げています。担当・梅津正樹アナウンサー。今までのところ、おおむね若者ことばには厳しい。
内容は「皆さんご承知」という感じのものが多いのですが、担当アナウンサー、司会アナウンサーらの発言、投書者の意見などからうかがえる、ことばへの好悪などの評価はいささか興味深いものもあり、記録に足るものと思います。別スレッド「視聴記録」とは別立てで、できるだけ記録しようと思っています。
著作権の問題もあり、番組をまるごと再現ということはしませんが、興味深いコメントや、すでに公表された各種調査の数字等は、いささか詳しく記してよいのではないかと思います。
私は、できるだけタイマー録画していますが(1回ごとに上書き)、忘れたり失敗したりすることもあり、完全に把握しているわけではありません。(きょうも、ビデオには何も映っていませんでした。タイマー録画の訓練が必要です)
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2003.09.30(第1回)カタカナ語は好ましい?
詳細は「視聴記録」に。
この間、何回かあった模様。
2003.10.6〜7〔よろしかったでしょうか〕
詳細は「名古屋で聴いた完了態?」に。
2003.10.08〔〜になります・〜からお預かりします等〕
詳細は「私の「一万円から」」に。
2003.10.09 「弱冠35歳」は正しい?
2003.10.10 ジュッパーセント? ジュッパーセント?
NHKではどちらでも可能とのこと
2003.10.14 「とか」とか使います?
とか弁
投書「水とかってありますか?」
投書「変な使い方をされるようになってはや20年くらいたつ」(そのとおり、20年前から)
「(今)学生とかやってます」
辞書には近年の用法として載る
ある調査(文化庁?)「今の人間関係にある・お互いを束縛する重い関係よりも相手に寄りかからない軽い部分的なつき合いを望む人が増えている・軽い対人関係の志向と関連している表現ではないか」
とか弁を使う若者は対人関係が広いという調査
2003.10.15 “とか弁”その心は…?
文化庁調査H12年1月「鈴木さんと話とかしてました」言う16.2% 言わない82.4%/16-19歳48.2%「言う」60歳以上7.4%/30代は4人に1人ほど
投書「私は26歳女性、学生のころ〈とか〉を使っていたが、〈不安だから〉と気づいて意識してつけないようにした」
投書「(21歳学生女性)たしかに使う、言い切るのは勇気がいる」
断定しないことば=美徳・やさしさの現れでは
「ビミョー」断定しない、若い人が発見したことば
ビジネスの場であいまいでは仕事が前に進まない
2003.10.16 “わたし的”ってどんな的?
2000年流行語大賞のトップ10入り
放送文化研究所・平成8年調査―「色的に派手な車が通った」50.1%、「この服は長さ的にはちょうどよい」46.1%、「気持ち的には理解できる」33.6%
日本語は形容詞が少ない言語なので、明治時代に翻訳家が「健康+な」「豪華+な」、ある翻訳家は「〜的」を用いた
“概念”に「的」をつけるのはよい、「家庭的」はいいが、「家的」はだめ
「○○系」―「渋谷系」「(食事は)何系の店がいい?」
2003.10.17 〔“全然大丈夫…”は変な表現?〕
見逃し。見たかったのですが……
なお、タイトルの〔 〕は画面上で確認していないもの。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 17日 金曜日 20:25:55)
> 2003.10.10 ジュッパーセント? ジュッパーセント?
これは変ですね。どちらかが「ジッパーセント」なのですが、もう上書きしてしまったので分かりません。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 17日 金曜日 20:28:59)
> 2003.10.16 “わたし的”ってどんな的?
> 放送文化研究所・平成8年調査―
上記に示す百分率は、たしか「違和感を感じる」人のパーセンテージです。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 17日 金曜日 21:36:52)
番組ホームページはこちらですが、内容のサマリー等は載っていないようです。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 24日 金曜日 21:47:42)
今週は、「全然」のあとは肯定表現か否定表現か、という論争があり、見ものでした。文部科学省の話として「戦前から『全然〜否定』と教育している」という証言があったのはおもしろく思いました(文部科学省のだれがどういう表現で言ったのか?)。しかし、そう教える根拠については「分からない」のだそうで、アナウンサーたちも頭を抱えていました。ちょっと口ばしを挟みたくなる展開です。
2003.10.20 “飛ぶ鳥?”後を濁さず
|〔先週の“全然”への反響〕
| 明治〜昭和初までは「全然〜肯定」「〜否定」両方あった
| 56通の反響、3分の1は「肯定でも良いのでは」
| 投書(大正14年生)「漢文世代の意識から『全く然り』、肯定的に近い」
| 投書(57歳)「中3国語の授業で教え子の手紙『僕は全然元気です』」
| 投書(74歳)「否定続くと習ったような気が」
混交表現「飛鳥{とぶとり}もあとを濁{にご}すなに候{さぶら}べば」(樋口一葉・ゆく雲)
渡り鳥が去った後は巣はきれいで糞もない
鷺ではないかとの意見
「押しも押されぬ」「精も根も疲れ果てる」
「人山の黒だかり」
2003.10.21 “情けは人のためならず”
「住めば都」「かわいい子には旅をさせよ」などの意味の取り違え
2003.10.22 “気の置けない人”
文化庁H14年調査「理解○44.6%、×40.1%」
「気が許せない・気が知れない」などの類推か
「置く」は距離を距てる
「気の置ける人」も辞書に
誤解が人間関係に響く「他山の石・腐っても鯛・枯れ木も山のにぎわい」
2003.10.23 私には“役不足”?
NHK調査(H5)正しく理解30%
「不足」が謙虚に思われるせいか
枯れ木も山のにぎわい「私も枯れ木の一つで……」はOK
「わらにもすがる」「おぼれる者はわらにもすがる」→「あなたにわらにもすがる思いで……」は×
学校・家庭で教えない
投書「『気の置けない人』私は嬉しいが夫は嬉しくない」
「全然〜肯定」に賛否両論100通越える
2003.10.24 “全然〜”どっち派?
「全然〜肯定・否定」大論争
120人以上から投書、うち「全然〜肯定表現」49人:「否定」77人。20代=6:0、30代=7:2、40代=3:5、50代=6:11、60代=5:13、70代以上=15:35(合計数字は、直前の到着分を追加したものか)
投書(岐阜県昭和24年生・女)「小学校で(否定と)教わった」
投書(草加市78歳・男)「陸軍幼年学校・航空士官学校卒。否定で習った」
投書「母83歳は戦前・戦中に否定で教えていた」
投書(深川生まれ70歳・男)「子どものころから(肯定を)ふつうに使う。大人になり注意され驚いた。漱石は下町ことばを使うので地域により違うか」
投書(大分県31歳・女)「現代国語の文章で、先生が『全然〜肯定は昔から使う』と教えた」
投書(八王子市大正14年生・男)「漢文世代の意識から『全く然り』、肯定的に近い」
雑誌「太陽」データベース(国立国語研)では「全然休息しろ(明34)・全然誤解なり(明42)・全然皮を脱ぐ(大6)・全然暗中模索だった(大14)」
『国定読本用語総覧』では「全然移住せし例は(明43)・全然移住するは(同)・算木によるむづかしい数学は全然忘れられてしまつたのであつた(昭8)」
文部科学省談「戦前から『全然〜否定』と教育している」
教育現場でなぜ「全然〜否定」と教えるのか?――根拠分からない
国立国語研究所「研究課題だ」
岡島 さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 24日 金曜日 22:32:18)
NHKラジオでも、ほぼ並行して同じ話題を取り上げているような気がいたします。時間帯はもう少し早く三時台であると思います。
ちゃんと聞いてないので確実なことは言えませんが。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 10月 31日 金曜日 17:42:51)
NHKラジオ第1で15:45から「気になることば」を放送していますね。聞いてみると、こちらも梅津アナウンサーが担当し、内容もほぼ同じであるようです。その1時間後にはテレビスタジオに移り、ちょうど同じ授業を2コマ続けて行うような感じで話す形です。その場の流れにより、多少情報の増減はありますが、選ぶ投書なども一致しているようです。
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2003.10.27 カタカナ語でリストラされる!?
リストラクチャリングは「再構築」→リストラ→人員整理、解雇
「首切り」は強烈だが「リストラ」は人ごとのよう
連合の意見「『リストラ=解雇』はゆゆしい、労組は経営をリストラクチャリングするため幅広く協議しているが、労組の取り組みが正確な理解得られず、不本意」
経団連「正式文書では『リストラ』使わず、使うならば『再構築』の意味で」
マスメディアの責任も
意味のずれることば「アルバイト」(仕事・労働)、「ダイエット」(食事療法)
「グローバルスタンダード」十数年前から使われる、欧米の書物にはあまりない、日本の経済界で使われる
あいまいな定義で会話するとかみ合わない
*関連
「リストラされる」(ことばをめぐるひとりごと)
「アルバイトの語誌」(この会議室)
2003.10.28 ファースト?フード
NHK調査(H14年)ファーストフード:ファストフード(%)20代=86:14、30代=91:8、40代=88:10、50代=79:11、60代以上=45:12
外資参入が許可され1970年に一気に入る
イギリス英語では延ばす
アナウンサーもかつて「ファーストボール」(直球)と言っていた
ファスナー以外は延ばす
最近の動き「スローフード運動」→対比的に「ファストフード」言うようになるか?
店自身は「クイックサービスレストラン」
2003.10.29 カタカナ語で厚化粧
埼玉県74歳・女「むずかしい横文字多い、独り暮らしで訊く人もいない」
4つに分類する人も(柴田実氏?)――ペンキ語・ハリボテ語・詐欺語・芋づる語
ペンキ語=新しい感じを出そうとする。
〈先週金曜の新聞広告(住宅)の例〉「セキュリティ&プライバシー」「「スタイリッシュ」で「快適」なライフスタイル」「緑と水のソサエティ」「ここだけのビュー」
ハリボテ語=中身をより大きく見せる(例、グランドリニューアルオープン、アンダーウェア)
〈新聞広告(住宅)の例〉「ビッグプロジェクト、ファイナルステージへ」「アートする邸宅」「シンプルなカラーコーディネートとあくまでもミニマムなインテリア意匠。」
神奈川・男「『マンション』は集合住宅のことをいうが大豪邸では?」
横浜市・男「ワンルームマンションとは?」
相撲では「白星スタート→初日白星です、ピンクのタオル→桃色の手ぬぐいで(?)」*同日のラジオでは、アナが見た車内広告が紹介されていた:「ワントーンコーデ シティー派の大人リッチ」
*参考「「ふだつき」カタカナ語の分類法」〔放送研究主任研究員 柴田実〕(放送文化研究所・ことばウラ・オモテ)
2003.10.30 増殖を続けるカタカナ語
詐欺語=何となく新しくみえる
例、アカウンタビリティ(説明責任)、モラルハザード(倫理の欠如)
芋づる語=続けて使ってしまう
「ベージュ(らくだ色)のオーソドックス(正統派)なコート(外とう)は永遠のベーシックアイテム(基本的品目)」
「クールな(格好がよい)レザー(皮)とラブリーな(かわいい)バッグ(かばん)のミックスコーディネート(調和した組み合わせ)」〈最近は「コーデ」とも〉
「リッチ(豪華)なファー(毛皮の)襟でフェミニンさ(女らしさ)をアピール(訴える)」
ブラウザー〜データファイル〜ソフトウェア……芋づる式
2003.10.31 お答えします!カタカナ語
番組開始以降、総計の投書1,070通
「ブラウザー」とは?
投書「ブラウザ=情報表示道具」
投書「中国語では『瀏覧機』(ざっと大まかに見る)」(瀏覧器?)
投書「レシピとは何か教えてください」
投書「『シェフ』(総料理長)が『コックさん』の意味で使われている」
投書(京都・男)「日本語語彙として受け入れればよい。日本語は新語、造語を容認しやすい」
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 07日 金曜日 17:54:57)
2003.11.04 すごいが気になる
「すごい」を使うとき(渋谷の若者)〔初めてVTR映像使用?〕「友達の曲がカッコよかったとき」「自分が驚いたとき」「メールの返信で『それすごすぎじゃん』「たわいない話で」「テレビの人に会ったとき」「意味がなくても」「すごい眠い」
投書(22歳男)「古語では『すごし』はおそろしい」
「言わん〔ママ〕方無くすごき言の葉(源・帚木)」「あられ降り荒れてすごき夜のさまなり(源・若紫)」
大正〜昭和初期の辞書語釈「さびしい、おそろしい」
中山由五郎他編『モダン語漫画辞典』(昭和7〔ママ〕)実物紹介。「サボる」等載る。「すごい」は「賛美の最上級に用いられる語であるが「すげえ」と発音した方が凄えようだ。/Kのアミ〔恋人〕見たか?とてもすげえぞ…」
江戸時代から俗語ではいい意味でも使う→一般化
感嘆詞のよう
投書25通「『すごいおいしい』は『すごく』ではないか」
2003.11.05 すごい?すごく?
投書(横浜市・女)「『すごいよかったです』は違和感」
投書(宇都宮市60歳・女)「耳に障る」
VTR(渋谷の若者)「すごい可愛い服」「すごいむかつく」
文化庁調査(H9)すごい速い「言う」全体43.1%「言わない」全体55.5%、16-19歳女性78.5%、男性60歳以上25.1%
VTR(渋谷)「『すごく』は使わない」(女)「『すごくおいしい』は硬い」(男)
投書(世田谷・男)「『〜ごく』とg・kが連続するとまどろっこしい」
専門家「理由分からない」
今に始まったことではない。「おそろしい高へ」「おそろしい高いもんだ」「途方もない高い」(『辞典〈新しい日本語〉』)
「わー、おいしい」などと同じく感嘆詞として「すごい!おもしろい」
投書(長野県千曲市・女)「祖父は『すごく』『すごい』区別を注意するよう言っていた。今考えると『すごい』を形容詞と捉え感嘆詞と認められなかったのだろう」
「超むかつく」等、強調はすぐ古くなる。今は「超」でなく「激むかつく・マジむかつく」
*参考「大したたまげた」(ことばをめぐるひとりごと)
2003.耳ざわりがいい!?
投書(埼玉県60歳・男)「『耳ざわりのよい』は『聞こえがよい』というべし」
投書(三重県43歳・女)「『耳に心地よい』という」〔アナ「『耳にやさしい』でもいい」〕
NHK放送文化研究所調査「おかしい」1989年→59% 1992年→47%
文化庁・国語辞典調査「口」→触、「手・肌」→触(障も)、「耳・目」→障、ただし「耳」を「触・障」とする辞書も
「足ざわり」も、「足触り(触覚)」「足障り(じゃま)」両方
2003.11.07 監督!ゲキを飛ばしてますか!?
|投書(世田谷)「触は直接ふれる、障は器官から入る情報について使う」
|投書(埼玉21歳)「耳触りもアリでは。ヘッドホンの装着感」
投書(名古屋市・男)「スポーツニュースで『王監督が、チャンスがないわけではないので頑張ろう、と檄を飛ばした』と言っていた」
夕べ町で30人に聞く「主張を知らせる」2人、「活を入れる」28人
緊急アンケート30人(教育フェア/スタジオパークの客)「劇」4「激」19「檄」7〔本当に緊急らしくホワイトボードに手書き〕
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11.07の放送では、この後、「秋に聴きたいこの1曲」として、題名が分からないという曲を含め投書何通かあり。「遠い山から吹いてくる」(野菊)、「夕空晴れて秋風吹き」(故郷の空)、「わたしはまっかなりんごです」(りんごのひとりごと)等。曜日担当のアナウンサー(1967年生)は、いずれも知らないそうで、意外のようでも、当然のようでもある。「りんごのひとしごと」と何度も読んでいたので、本当に知らないのでしょう。傍らの梅津アナウンサーはいずれも知っていました。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 28日 金曜日 17:26:37)
大相撲中継などでずいぶん間があきました。
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2003.11.27 使いすぎじゃないですか
文化庁調査(H9)「年末はどこの店も込むじゃないですか」普通59%、親しみ17%、押しつけ14%、唐突7%/「私ってコーヒーが好きじゃないですか」普通10%、親しみ6%、押しつけ26%、唐突46%
VTR(渋谷若者女)「敬語っぽく聞こえるけど押しつけがましい、使わない」/(若者男)「初対面でいわれても。人間関係あれば問題ない」
若者の中には丁寧な言い方と思っている人も
VTR「説得に自身がないときに」
2003.11.28 便利でクセになる? 半疑問
半疑問・半クエスチョン・擬似疑問・文中疑問などとも
VTR・都内で仕事をする野々村純子さん(20代)多用する
投書(神奈川40代・男)「30代から60代まで、女性が多いようだ」
スタッフで理由考えた(1)反応確かめる(2)自分に注意を引きつける(3)会話の効率化〔助詞などの語尾を半疑問に置き換えるということか〕
「ひところより減っているのでは?」「意識して使わないようにしているのか?」
岡島昭浩 さんからのコメント
( Date: 2003年 11月 30日 日曜日 21:51:26)
なるほど、大相撲中継がテレビでは1600ごろからですから、「気になることば」は休みだったのですね。
ラジオで3時台で、まだ大相撲中継に入ってないので、古いものの再放送をしていました。
無精な私はきちんと聞いておらず、情けないことですが、「よろしかったでしょうか」を聞いたと思います。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 05日 金曜日 17:44:18)
今週は井上史雄氏特集という感じでした。私の感想・疑問の注記〔 〕を増やします。
4日は臨時の内容が入ったためか何かで、「ことば」を放送する余地がなくなりカットされた模様です。ラジオでは放送されたでしょうから、今後、どこかで調整しなければラジオとテレビの放送スケジュールがずれてしまうのではと、要らぬ心配をしてしまいます。
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2003.12.01 “なにげに”の誕生
伊東敏恵アナ(1972生)「アナウンサーとしては言わないが、ふだんは『なにげに可愛いじゃん』とか言ってしまう」
文化庁6年前調査、10代・20代で30%ぐらい
2001年出版の辞書に「なにげに」載る、「『何気ない』と同意、若い世代用いる」
「うれしい→うれしげに、かわいい→かわいげに」の類推か
国井雅比古アナ「『かわいげに』ってことばある?」梅津正樹アナ「最近言うんです、『かわいげにこんなことして』と」〔ちょっと話がおかしいようだ〕
群馬・埼玉等「〜そう」の意で「〜げ」を使う――2000.07.02放送「ふるさと日本のことば」(群馬県)で「まっさかうまげだがね」(非常にうまそうだ)
言語学者・井上史雄さんによれば「こういう方言が東京に入ったのでは」――「よさげ」群馬・埼玉のことば、1990年代後半から東京の若者が使う、「なにげ」も元は群馬・埼玉の若者ことばか
*参考スレッド「何気に」
*参考「新方言辞典稿」(井上史雄氏)の「ナ」
2003.12.02 “なにげに”の進化
| 投書(群馬15歳・男)「『ほしげ(ほしそう)』『見たげ(見たそう)』と言う」
| 投書(静岡59歳・男)「子どもの時代から使っていた。『そうそうなにげにしてしまうよ』」〔詳細知りたし〕
| 投書(香川50歳・男)「香川方言でも『〜げな』を使う。『面白げな番組』『重げな荷物』」〔私(香川県出身)も使う〕
| 投書(大田区70歳・女)「新潟でも『なにげ』『うまげ』『よさげ』」
| 桜井洋子アナ「新潟では『なにげに(何故に)そう言ったの?』と言う」
| 投書(東京・男)「『めんどくさい→めんどい、気持ちいい→気持ちい〔言うのだろうか? ウェブを検索すると多少あるが誤入力か?〕、気持ち悪い→きもい』などの簡略化とみるほうが自然」
| 投書(千葉38歳・男)「『なにげない』の省略だ」
投書(神奈川19歳・女)「『なにげに可愛い』は『けっこう可愛い』の意味だ」
VTR(渋谷若者女)「人が可愛いと思っているかどうか分からないから、『なにげに可愛い』と言ったほうが押しつけがましくない」「服を見ていて、友だちが『いまいちだよね』と言うとき『でもなにげに好きなんだけど』と言いたいことを和らげる。ずるいが使う」
あいまい表現の一つか
2003.12.03 うざいは若者ことば?
=うざったい・うざっこい(「うじゃうじゃ・うざうざ」からか)
「うざったい」東京外国語大学・井上史雄教授調査(1983年)東京で一番使う、とりわけ西部で老年層も使う、都心では若者だけ――「東京の西のほうの方言」
多摩地区老年層「濡れた畑に入った感じ」、多摩地区若年層「不快だ、いやな人」、都心若年層「面倒だ、わずらわしい」
20年前、ニュータウン開発・東京西部に大学が移転→都心に移る→全国に
歌にも11年前〔1992〕、T-BOLAN「じれったい愛」で「じれったい オマエの愛が うざったい程 痛いよ」
投書(宇都宮市42歳・男)「『うざい』は携帯メールの文字数制限のせいでは」
井上教授の調査では多摩地区の若者が短縮したという、そのころならばポケベルの字数短縮によるか〔本当?〕
短縮形「きもい」「むずい」
宮川泰夫アナ「ことばが間接化して喜怒哀楽に向き合わない」「『きもい』など人間関係をマイナスに受けとめている」「元気になるような若者ことばはないのか」
*参考「新方言辞典稿」(井上史雄氏)の「ウ」
2003.12.04 休み
2003.12.05 じゃんの来た道
〜ではないか→〜じゃん(か)
投書(静岡32歳・女)「神奈川出身だがハマ弁だと聞いた、ハマっ子が使う」
投書(神奈川38歳・女)「ジャンことばは神奈川方言と聞いて育った」
東京外国語大学・井上史雄教授の調査では「戦時中、静岡の空襲についての記述の中に『じゃん』を使った人」←昭和初期「浜松で繊維工場の女性が盛んに使っている」
他の調査では長野・山梨でも少なくとも100年前には使う
50年かかり、東京では戦後使われる
投書(愛知50代半・女)「知多半島に住むが『そうじゃんねえ』と自然に使う」(母は使わないという、では知多半島では50年ぐらい前から?)
横浜ではいつごろか資料なし
「あるじゃん」の使用分布(1983年井上氏調査)1940年代生では東海北陸関東中心、1970年生では関西除きほぼ全国に、関西では「〜やん(か)」があるので空白地帯
投書(栃木県76歳・男)「『いいじゃん』は強い励まし、『だめじゃん』は愛情を感じる」
肯定的な投書多い
*参考「新方言辞典稿」(井上史雄氏)の「シ」
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 12日 金曜日 17:28:45)
公正報道のためか、辞書等の出典を挙げてくれないのが困ります。書籍はあるていど見当がつくとしても、「ある辞書にはこう書かれています」と言われると、その「ある辞書」を特定するのが少々おっくうであります(必要となったときは、調べるにやぶさかではありませんが)。
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2003.12.08 あげる派? やる派?
1952年に動物園で「えさをあげないでください」〔出典はどうやら『言語生活の目』〕(今回電話で聞くと、文面はまちまち「やらないでね」「あげないでね」)
NHK放送文化研究所(2002年)「花に水をあげる」おかしくない61%、おかしい35%;使う59%
伊東敏恵アナ「自分の子どもに『お菓子買ってやろうか』はへんだと思う」
会社では上司が部下に「あげる」部下が上司に「さしあげる」
「あげる」は丁寧語・美化語に変わりつつあると研究者――辞書に「1970年代前半までは丁寧語『あげる』は誤用、その後次第に定着」
スポーツ中継「これ以上1点もあげられません」はおかしい
2003.12.09 させていただきます
文化庁調査(H8)明日は休業させていただきます「おかしい」7.1%、これで会議を終了させていただきます8.1%、この商品は値引きさせていただきます18.3%、ドアを閉めさせていただきます18.8%
NHK日本語センター・NHK入社面接セミナー〔で使用した(悪文の)例?〕「私が御社に入社させていただきたいと思う理由は、3年前に御社の国際線を利用させていただきまして、ヨーロッパへ旅行したのですが、慣れない旅で気分が悪くなりました時に、客室乗務員の方に大変ご親切にしていただき、そのことを忘れることができません。私も人のために尽くさせていただくことを生き甲斐にしたいと思っております」
謙譲語ではなく丁寧語になってきている
言語学者・井上史雄さんは「上下敬語→左右敬語になっている」
2003.12.10 続 させていただきます
敬語〔というもの〕は関西から生まれ全国に広まったという説が有力〔?!〕「させていただく」もその1つ
司馬遼太郎『街道をゆく』「『させていただきます』は浄土真宗から来た、すべては阿弥陀如来のおかげ、近江商人がよく使った」
二重敬語「お値引きさせていただきます」「お呼びさせていただきます」
「お呼びさせていただいてもよろしいでしょうか」
言語学者・井上史雄さんによれば「敬意低減の法則」がある〔井上さんに拠らなくてもある〕→敬語をつけ加える
プラスの若者ことばはあるか
投書(24歳・男)「わざとらしい飾り立てたことばに嫌悪感。私もそう。夢のあることばを口にすることは現実の問題から目をそらしてしまうことに気づいている」
*参考スレッド「「させていただき・・・」の連呼」
*参考「ことばの海」「「させていただきます」続貂」(岡島さん)
2003.12.11 とんでもございません
「とんでもハップン」1950年代にはやった〔獅子文六『自由学校』1950年〕
投書(岡山市・女)「『とんでもないです』だけでは何かもの足りない」
投書(神奈川・男)「時代劇で浪人に『とんでもござらぬ』と言わせていた」
文化庁調査(H7)「気にならない」78.7%「気になる」17.9%
「ない」の分類 ・ある←→無い(情けない)/・打ち消し(かなわない)/・強調(せわしない)――「とんでもない」も強調
語源「途方もない」ならば「とんでもありません」も可
文化庁〔出典はどうやら『言葉に関する問答集』14〕「相手のことばを強く否定するあいさつ語の用法あり。今の世の中『とんでもないことでございます』が使われるかどうか疑問」「不適切と退けるのは好ましくないと言える」
2003.12.12 気「お」つけましょう
投書(広島72歳・女)「料理番組で『お粉(こな)』、ていねいすぎる」
投書(東京40歳・女)「食品パッケージ裏に『お召し上がり方』居心地の悪さ」
NHK調査(1996年)(ビール・酢・正月・みかん・台所・なべ・金・ソース・酒)「金」―8割、「正月」「酒」―7割が「お」つける
女房詞に「おでん・おなか・おこわ」
意味が違うことば「おひや―ひや」、「おにぎり―にぎり」
スタッフ談「日本語に堪能な外国人が『子どもと、もちゃで遊ぶ』」
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 19日 金曜日 17:09:19)
今回は見逃しが1回あり、NHKのオペレーターをわずらわせました。そこまでしなくともと思いますが。あまり見逃しが増えるようであればこの企画は頓挫です。
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2003.12.16 梅津さんってやばい!
伊東敏恵アナ(1972生)「妹に『あの人かっこいい、かなりやばい』と言う」
投書(茨城・男)「昔は隠語だった、今は男女学生、アナウンサーも」
江戸時代に「厄場(やくば=牢屋)→やば」、上方で使われる、戦後広まる
VTR(渋谷若者・女)「ちょーかっこいい人を『やばい〔、〕かっこいい』〔「、」で切れているかどうか微妙〕」、(若者・男)「友だちと服買いに行ったとき、『やばい〔、〕よくねー?』とか」、(若者・女)「食べてて『これまじやばい。おいしい』」
1998年には〔すでに〕プラスの意味で使われていた〔説の出所は塩田雄大氏?〕
『現代用語の基礎知識』2001年版「魅力がありすぎる。」、2002年版「魅力がありすぎる。すごくいい。」、2003・2004年版「あぶない・最悪な状態にも、すごくいいとき・最高の状態にも使う。意味は文脈によって決まる。」
放送文化研究所・塩田〔雄大〕研究員によれば「『やばい』の対象が自分の外だったものが、やがて自分の内側、心・感情に向いた」
投書(22歳・男)「『すごい暑い』の上級活用として『やばい暑い』がある」
VTR(渋谷若者・男/女)「『すごい』より『やばい』が上」
ほかに「マックス○○」「おに○○」〔これは前からではないか〕
2003.12.17 〔世界の“やばい”〕
〔見逃しました。ウェブでは「日本語ばかりか外国語にも見られるようになった「やばい」について考えます。」とあります。NHKに電話をかけてオペレーターの方に伺った話では、別に日本語「やばい」が世界に輸出されたわけではなく:
――世界でも日本の「やばい」のようなマイナスのことばがプラスの意味で使われている。例、韓国語「チュギダ」(殺す)が「かっこいい・いかす・すごい」、「ヨプキジョク(猟奇的)」(怪奇・異常な)が「かっこいい」、英語「bad, cool」が「とても素敵で格好いい」、中国語「クーナン(酷男)」(みにくい男)が「格好いい男」。韓国映画「猟奇的な彼女」は「とてもいかしている素敵な彼女」。このように逆説的なことばづかいが蔓延している。〕
2003.12.18 ごっつええやん!関西弁
東京の若い人が関西弁使う「めっちゃむかつく」「ごっつ○○」「やめてえな」
パソコンソフトにも関西弁を変換
けったい・いちびり・いらち・はんなり・ほっこり・なんぎ
NHK大阪・比留木剛史アナウンサー「強いことを言っても丸く聞こえることば。若者の、ものを言いきらない部分とマッチしている」
「けど」の文化――「お釣り、足らんように思いますけど」〔春木一夫『けどの文化 関西人の意識構造』日刊工業新聞社 1980という本がある〕
2003.12.19 「じゃん」の来た道〜第二弾〜
53通の投書
投書(山梨県春日居町80歳・女)「『じゃん』を子どものころから使っていた」
投書(品川区1933年生まれ・女)「1944年、山梨に学童疎開。友達から教えられ、さかんに使った」
NHK甲府ローカル番組「いいじゃん山梨505」
NHKドラマ「夢見る葡萄」第1回台本では「じゃん」が10箇所。「あっ、また来てるじゃん」
小林是綱氏によれば、明治38(1905)年『風俗画報』に「甲斐方言考」(三田村鳶魚)。「ジャン……はジャナイカというに同じ。処によりジャンと言わずしてジャァとも言えり」
投書「『甲州の絹商人が横浜に来て売り買いで使いった』と本で読んだ」
投書(東京都・男)「父から聞いた話では山梨から絹の道(八王子経由)を通じて伝わった」
投書「かつて甲府市に住む。市政100周年のパンフレットに『山梨県では養蚕が盛んだったため、横浜に絹商人として移り住んだ。横浜では当時山梨県人が8割を占めていた』」
「絹の道」が「じゃんの道」だった?
江戸時代はどうか?
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 23日 火曜日 21:12:03)
> 2003.12.18 ごっつええやん!関西弁
> 東京の若い人が関西弁使う「めっちゃむかつく」「ごっつ○○」「やめてえな」
これについては下記の文献を参照。
陣内正敬(研究代表)『コミュニケーションの地域性と関西方言の影響力についての広域的研究』科学研究費補助金(基盤研究(B)(1))研究成果報告 No.1−No.3 2003.3
masakim さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 24日 水曜日 07:32:45)
「関西方言の影響力についての調査(2000〜2002)」は
http://home.hiroshima-u.ac.jp/hoogen/kansa/
で読むことができます。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2003年 12月 26日 金曜日 17:28:22)
投書で多かったテーマベスト5のまとめでした。本編に対する「追記」という感じですが、「全然〜肯定」の例を多数紹介する投書など、興味深く思いました。
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2003.12.22 気になることばベスト5・4
先週金曜まで41回の放送で投書累計1,200通
ベスト5「じゃん」75通
投書(町田市・男)「生まれ育ち横浜。山梨から『絹の道』を通ってきた説に納得」
投書(栃木県・女)「シルクの道の終点地ペルシャにあることをイラン人の夫から学ぶ。ペルシャ語で『ジャン』は『ダーリン』とか相手を尊敬するときに使う」
ベスト4「なにげに」77通
投書(秋田県17歳・男)「(1)案外・意外と『お前なにげにいいやつだよな』(2)気がつくと『ところでさあ、なにげに寒くねえ?』(3)知らぬ間に・ちゃっかり『お前、なにげにおれのコーラ勝手に飲んでただろう』」
投書(埼玉県37・男)「15年ほど前に宮城県の会社先輩が使う。仙台弁で『意外と』の意味だそう」
京都・徳島・愛媛などで使うと投書
投書(男)(古典から国語学者の文献まで調べて報告)「香川県観音寺市三豊地区の人のホームページに『近辺でしか通じないことば』として『なにげに:思わず。深く考えないで。』」〔以下のページか:さんじらこ超方言〕
投書(東京都・男)「『きもい』などと同様の短縮表現か」
投書(青森県43歳・女〈予備校講師〉)(実体験からの仮説をレポート)「短縮ではないか」
中道知子助教授より雑誌郵送=黛美和「「なにげに」の意味」(『大東文化大学日本語学科年報』5 1997)
2003.12.23 休み
2003.12.24 気になることばベスト3
ベスト3「アルバイト言葉」82通
「〜になります」「〜からお預かりします」「〜のほう」
投書(長崎市50・男)「かつて消火器詐欺が『消防署のほうから来ました』」
宮川アナ「顔も見ずに『いらっしゃいませこんにちは』はいやだ」
投書(仙台)「不快感を覚える、テープに録音したよう」
投書(千葉県九十九里町・男)「客が返事を返事をしないからだ、返事を続けていると目を見て言ってくれる、だめなら店を変えては」
投書(女性)「万引き防止、あなたが店に入ったことを確認しました、『こだまことば』」〔既出 2003.10.09〕
NHK放送文化研究所(2年前)「よろしかったでしょうか」ていねい12%、「よしろいでしょうか」と同じ17%、何となく違う22%、変な言い方だ44%――方言(北海道等)で使う
投書(宮城県30代・男)「北海道出身で仙台に住む。畑正憲の文章〈道東の警察官は「どうも警察でした」と訪問〉、妻の父(山形県)は『どうも○○でした』と名のる」
投書(鹿児島・主婦)「違和感感じるが、自分でも『このハンカチでよかった?』『ご飯これぐらいでよかった?』と言っている、親近感とていねいがドッキングか」
2003.12.25 気になることばベスト2
ベスト2「全然大丈夫」137通
投書(57歳・女)「昭和33年ごろ、友だちと『全然おいしい』新しいおしゃれなやんちゃ語として使っていた」
昔もあった、明治の文豪も使っていた、末田正雄アナウンサーの子どもも「昔も使っていたんだって」と反論、雑誌『太陽』「全然休息しろ」(明治34年)等〔既出〕
学校教育で「全然〜否定」と教育、77通は否定を支持
投書(西東京市・男)「明治・大正・昭和の作品にも『全然〜肯定』の例:『全然意志の外にあるのであるが』(西田幾多郎〔梅津アナ「いくたろう」〕『善の研究』岩波文庫 p.27)、『全然別種のものであろう』(和辻哲郎『古寺巡礼』岩波文庫 p.100)、『全然標準を異にしているのでしょう』(芥川龍之介『河童』新潮文庫 p.74-75)、『全然不当としてしりぞけられるが』(寺田寅彦「物理学圏外の物理学的現象」『寺田寅彦随筆集 第三巻』岩波文庫 p.124)、『全然新しい幕が』(太宰治「パンドラの匣」『太宰治全集7』筑摩書房 p.271)」
末田アナ「全然問題ない、だから大丈夫→全然大丈夫」ということか?〔必ずしもそうではあるまい〕
投書(沖縄県)「若者は短縮語が好き、『全然問題ないよ、オッケーだよ』が『全然オッケー』」
投書(東京都・男)「肯定の中に否定が隠れているのでは。『全然問題なくよかった→全然よかった』」
投書(岡山市80歳・男)「数十年前までは否定で結ぶ『とても〜できない』が今日では肯定で使う、ことばは変わる」
*参考スレッド「ぜんぜん大丈夫?」
2003.12.26 気になることば No.1
| 西田幾多郎を「いくたろう」と読んだことについて投書続々、西田についておさらい
No.1「カタカナ語」166通
投書(英会話教師)「相手に分からぬ『アイデンティティー』『コンセンサス』『ステータス』。どうせなら全部英語で」
国立国語研究所、4月・11月に日本語に置き換える目安
11月に47語…タスクフォース=特別作業班、エンフォースメント=法執行、ポテンシャル=潜在能力、ノーマライゼーション=等生化・等しく生きる社会の実現
投書(東京36歳・男)「言い換えに違和感。日本語は外来語を取り入れて豊かにした、時間をかければ定着」
ライブラリー、ミスマッチなどは使うのでは?
オンライン、データベース、フォーラム、メセナ等置き換え見送り。ユビキタス=時空自在?――見送る
投書(京都府30代・男性)「日本語の新しい語彙として受け入れればよい」〔既出〕
*参考スレッド「視聴記録(クローズアップ現代)」「納得診療」
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 01月 09日 金曜日 23:23:37)
「こだわる」についてスタッフが資料を発掘したりして(自分の部屋の押し入れから?)、興味深い試みも多くなってきました。新しい意味の「こだわる」については、『日本国語大辞典』にも用例がありませんね。
他人の配偶者を敬う言い方として「朝日新聞」1993.3.18〔第2東京〕「いま東京語は」6では「夫さん」を紹介しています。
もうひとつ困るのが、他人の夫をどう呼ぶか。京都などの生活改善グループが摸索の末に見つけたのが「夫さん」。
「思わずうなりました。おもしろい言葉の発明です。関東にも紹介して回っています」というのは、国語学者の寿岳章子さん。関西方面からじわじわと使われ始めているという。
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2004.01.05 おめでとうございました
投書(東京都・女)「金メダル受賞で『おめでとうございました』。今はめでたいと思っていないような」
国井雅比古アナ「昔礼状で『ありがとうございました』と書いて注意された」
投書(神奈川県・男)「スポーツ競技の優勝者に多い、インタビューで『ありがとうございました』」
NHKスタジオパーク客50人に調査=「ありがとうございました」おかしい1人・おかしくない49人、「おめでとうございました」おかしい39人・おかしくない11人
NHK調査(1980)での意見「めでたいのはその瞬間までではない」「『た』は過去形だけではなく強調の『た』もある(困った、困った)」
「これでよろしかったでしょうか」などの「ていねいの『た』」もあるか
北海道・東北一部で「おはようございました」=ていねい
北海道でも「あけましておめでとうございました」は言わない
2004.01.06 短くなります? 北海道
| 投書(東京都45歳・男)「飲食店を営むが、落語で『ありがとうございました』は『縁を切るような言い方』。以来過去形にはしない」
投書(東京都69歳・男)「『北海道』を『北海』とは言えないのか」
「北海道」で1つの地名、「北海」の「道」ではない
明治2年8月「北海道」命名、明治4年廃藩置県、明治15年北海道に3県(函館県・札幌県・根室県)、明治19年北海道庁設置・地名=行政区画名となった
「北海道県」としなかったのは律令以来「道」の中に「国」があった〔ことに準ずる?〕〔つまり廃藩置県で、県だの府だのと言われるようになる以前から既成事実として「北海道」があったために分解できないということか〕
県名由来―香川「香りのする川があった」・鳥取「水鳥を取る仕事をする人がいた」・兵庫「(大化改新で)兵器庫を設置せよと命令」・奈良「草木を踏みならす・国をならす・ならの木にちなむ」
司馬遼太郎『街道をゆく』「愛媛―古事記に愛比売(いい女)」
2004.01.07 「こだわる」にこだわる
プラスの場合にも使われることについて
投書(東京・男)「『こだわる』に代わることば:信念を貫く・工夫をこらす・凝る・気に入る・とらわれる・執着・熱中・熱心・気を配る・思い通りに・念入りに・原則〔?〕」
「コダハル→コ+サハル」〔大言海〕
拘る 拘泥 拘束 拘留…
プラスの場合に使われ出したのは1970年代ではないか(番組スタッフ)――『平凡パンチ・Men's Catalog』(1976 WINTER)表紙に「モノにこだわる男ならジッとしていられない本」
カタログ世代――「学生運動のあとの世代、執着・固執をするというよりも『こだわる』と言ったほうがかっこいい」
文化庁調査(H14)新しい用法よりも古い用法を使う人がやや多い、「どちらも使う」がより多い、60歳以上は「どちらも」より古い用法を使う人が多い
*参考「山田忠雄『私の語誌』・こだわり」(目についたことば)
*参考「「こだわる」に代わる語」(ことばをめぐるひとりごと)
2004.01.08 私は人ですか? 人間ですか?
投書(千葉県・女性)「テレビで『私はそそっかしい人なんです』『○○さんは親切な人間です』」
「人」の用法、〔米川明彦〕『若者ことば辞典』に載る
「人間」は「やや距離を置いて観察者的な態度で眺めたときの、人。」(『類語大辞典』)
100人アンケート(2003年末)10〜20代(「ポップジャム」観客)50人・50歳以上(スタジオパーク客)50人「私ってそそっかしい人だから」33:22人、「私ってそそっかしい人間だから」17:28人
同アンケート(第三者について)「鈴木さんって気難しい人だから」43:44人、「鈴木さんって気難しい人間だから」7:6人
同アンケート「『人』は親しみやすさ・優しい言い方・人柄や性格、『人間』堅苦しさ・かしこまる・ていねい」「他人には『方』を使う」
自分にマイナスのことばを使いたくないのでは(梅津アナウンサー)
2004.01.09 「主人」は誰ですか?
他人に対し配偶者をどう言うか――阿部渉アナ「『うちのムニョムニョが』『うちのが』」、伊東敏恵アナ「友だちには『うちの相方が』」
投書(東京都30歳・女)「『夫』や『彼』という。友だちの配偶者も。目上には使えない」
若い人「うちのダーが」(←ダーリン)
VTR(昭和30年6月ニュース)「第1回日本母親大会」ナレーション「日本のお母さんたちが手をつなぐ初の母親大会が、6月7日から3日間、東京で開かれました」
大会で丸岡秀子「主人と言わずに夫と言おう」と提案
人さまの配偶者を何と呼べばいいか?
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 01月 12日 月曜日 14:45:38)
訂正
2003.12.25 気になることばベスト2
× 物理学圏外の物理学的現象
○ 物理学圏外の物理的現象
と思われます。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 01月 28日 水曜日 00:38:53)
上記「北海道」については『週刊朝日』98.08.21-28の綱島理友「なんでかなの研究・略さない北海道」で触れているらしいのでした。(→「なんでかなの研究」タイトル一覧)
大相撲・国会中継も終わり、また今週から「気になることば」再開です。
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 01月 30日 金曜日 17:59:05)
今週は月金が国会中継で休みでした。
愚案の「ら抜きことばチェック法」を取り上げてもらいました。その放送を見ていたという末田正雄アナウンサーが「目からうろこが落ちた」といたく感激されていたので、満足しています。
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2004.01.27 桜井さん おりますか?
投書(千葉県60歳・男)「敬語〔尊敬語〕のつもりで謙譲語『何々さんおりますか?』という。『おられますか』だろうか」
投書(埼玉県)「『桜井さんおられますか』は抵抗感、『いらっしゃいますか』『ご在宅ですか』ならよい」
梅津アナウンサー「病院受付で『おりますか』と言われるが、違うなと思う」
いらっしゃいますか>おいでになりますか>おられますか だと思う
文化庁(H11)「先生は心配しておられたよ」気になる43.1、気にならない51.8。地域別にみると「気にならない」近畿61.7%、関東51.8%(関東・東北低い)
2004.01.28 「ら抜き」に耐えられる?
宮川アナウンサー「勢い込んで言うときは使ってしまう」
SMAP「夜空ノムコウ」に「あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ…」
島田荘司『ら抜き言葉殺人事件』
NHK調査(H12)「食べれない」おかしい:おかしくない=46%:53%、「来れない」51:48、「数えれない」73:26、「確かめれない」74:25
「ら抜き」チェック法――「〜よう」(勧誘)が付くなら「られる」も付く(飯間浩明)
*参考「「ら抜き」チェック法」(ことばをめぐるひとりごと)
2004.01.29 レタス 食べれれますか?
れ足すことば
投書(東京都・男)「『来れれない』『行けれない』『書けれない』知人の青森県出身59歳男性が連発」
NHK放送文化研究所(H12)全国「おかしい」82%「おかしくない」17%、東海3県「おかしくない」静岡50%・愛知54%・岐阜68%、年齢別(若者と60代で違和感少なし)「おかしい:おかしくない」20代=43%:57%、30代=58%:42%、40代=55%:45%、50代=52%:48%、60代=30%:71%
東海だけでなく北海道、四国でも
「ら抜き」で省略しながら、なぜ同時に「れ」を足すか?――「見れる」の「れる」を可能ととらえ、「飲める」などにも及ぼした
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 02月 06日 金曜日 20:04:04)
3日は国会中継で休止。4日も国会中継だろうとすっかり安心してタイマー録画をなまけたところ、じつは国会が早く終わって、放送された模様。例によってオペレーターの方をわずらわせて概要をうかがいました。6日の放送は「モスクワ地下鉄で爆発 死者20人以上か」のニュースが入ったため休止になりました。
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2004.02.02 ご存知ですか? からいも普通語
解説・小田川肇アナウンサー(鹿児島放送局)
CD「かごしま文化の表情 方言編」(鹿児島県制作)からお年寄りの会話――由緒正しい方言『オヤ 上山サン ドケー行ッキャット』『コラー中村ドン ヨカトコエ出ッオイモシタ ジチャー オハンゲー 行ットコジャシタ』〔私の聞き取りによる〕
NHK鹿児島「さきドリ!情報かごしま」脇元貴子リポーターの「からいも普通語」では――『やー上山さん どこへお出かけですか』『これは中村さん よいところでお会いしました 実はあなたの家へ行くところでした』
脇元リポーターと友人(VTR)――「さむいねー、桜島に、あれ、きのーも雪、積もってたけー」「積もってたがねー」「あしたも寒いのけー」「なんか寒いとかゆってたよ」「そー、もー、寒いからさー、今日は飲みにいくがー」「だよだよ。行(い)くが行くがー」「どこに行こーかねー」
特徴(1)語尾が上がる(2)独特の言い回し「けー(疑問)」「がー(勧誘)」
共通語と融合「寒いのけー?←寒かんそかいな?」「行くがー!←行っもんがー!」
言語学者・真田信治さん(S62)「ネオ方言」
戦後の共通語教育=斉藤公子さん(小学校教諭54)証言「黒板に『今週のめあて 方言は使わないこと』」、帰りの会で「きょう○○さんは方言を使いました」、罰掃除、方言札
方言を見直そうという気運――授業で方言演劇、年寄りに話を聞く
2004.02.04 〔地域限定の外来語〕
〔鹿児島の外来語について。ラーフル=黒板消し(文房具業界で一般的)、バンコ=縁台、ボブラ=かぼちゃ、ギッタ=ゴムなど。他の地方で、デレッキ=火かき棒、イラチカ=ゴムひも〕〔それぞれ福島、福井などで使われているもののことであろう〕
2004.02.05 尊敬されてください
窓口敬語――資料を参照されてください・カードを保管されてください・どうぞゆっくりされてください等々
NHK放送文化研究所(H12)「きいたことがある」24.3%「ない」74.1%、「おかしくない」14.9%「おかしい」83.5%。うち九州では突出して「おかしくない」とする人が多い
大分大学・日高貢一郎教授――「〔上〕お書き(になって)+ください、〔並〕書いて+ください」の中間に「〔中〕書かれて+ください」ができた
日高教授――二十数年前に大分県で耳にした。今でもバスで「整理券を取られてください」
熊本・水俣市役所の文書〔コピー〕「時間に余裕を持って請求されてください。」(熊本県出身の職員が作成、鹿児島出身の職員は違和感)
国土交通省九州地方整備局港湾空港部〔アナ「航空部」〕HPにも例(末尾参照)
九州の敬意表現がほかの土地よりも共通語に移行しやすいのか
京都・大阪・横浜でも見つけた。京都の企業のHPにも例(末尾参照)
梅津アナ「先に食事されてください」と言われたことがある、ふだん気がつかないだけか
*参考「第2回 福岡空港調査連絡調整会議の議事概要について」(九州地方整備局港湾空港部)「詳細については、添付ファイル(議事概要)を参照されて下さい。」
*参考「PC9801シリーズC-BUS対応拡張基板 98-11 アナログ/デジタル・インターフェース・ボード取扱説明書」(PDF)(株式会社オザック〔京都の企業〕1997年)「その間に回路を接続されて下さい。」「どの程度の影響かは実際にデータを取ってみて判断されて下さい。」
Yeemar さんからのコメント
( Date: 2004年 02月 13日 金曜日 17:49:22)
今週は2回しか放送されませんでした。「そうじゃん」などという「じゃん」がどこから来たのか、番組で突き止めようとスタッフは真剣になっている模様です。テレビの力でそれに成功すれば学会発表ものでしょう。今までの所は、書物にすでに報告されているようなことにしか触れられていません。
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2004.02.09 配偶者の呼び方 21世紀版
(投書51通より)夫様・妻様、道連れ、パートナー、お連れ合い(第1位)、配偶者、ご主人・奥様(第3位)、ご夫君・ご妻女、名前〔で呼ぶ〕(第2位)、ご伴侶様、ダーリン、ご良人様・ご令室様
投書(宮崎県20歳)「『パートナー』をよく使うが、目上または親しくない人に使うと怪訝な顔」
投書(名古屋市)「親しい会話では『お宅のダーリン』『うちのダーリン』」
投書(東京都42歳・男)「『主人』もいい。何でもかんでもフラットにするのはことば狩りでは」
投書(岡山県28歳・男)「『奥さん・奥さま』『ご主人』と呼ぶ。妻を外に出さないと主張するのではなく、現代日本語で最も自然」
投書「名前を先に伺って、個々の名前で呼ぶ」
投書「夫を名前で呼んでいると、他人も友人も名前で呼んでくれる」
投書(東京都22歳・男)「『連れ合い』夫婦の上下関係がまったくない」
投書(八王子市・女)「98歳の母は少し改まった会話では『連れ合い』」
これからもしばらくは場面に応じて考えなければならない、放送でも悩ましい。
*参考 「朝日新聞」1988.05.31 p.18「「夫」か、「主人」か(試論私論)」遠藤織枝氏「昭和30年以降のTVドラマに影響されて「主人」が広まった」(要旨)
2004.02.13 じゃんの来た道〜第三弾〜
投書(長野県・高校生女)「祖父母や母から長野のことばと言われた。祖父母も普段使っている」
駒ヶ根シルクミュージアムによれば、長野南部で生糸を生産。伊那谷地方から下諏訪まで運ぶ。甲州街道とぶつかる。伊那谷の田中平八は幕末に絹で大儲け、明治元年に横浜へ。
長野では「じゃんか」「じゃんね」「じゃんけ」
信州大学名誉教授・馬瀬良雄さん「大正時代にはたしかに『じゃん』は使われたとの証言」(それ以前は不明)
伊那谷地方と岡崎と塩を通じて結びつきも
投書(栃木県42歳・男)「浜松の製糸工場の労働力は伊那谷出身」
手がかりを求む。このコーナーから「じゃん」の生まれが分かる
伊東アナウンサー「今年中には解決したい」
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