2005年11月27日

忸怩たる

「忸怩たる思い」の「じくじ」に、最近新しい用法が見られるというのは高島俊男氏の指摘です(『お言葉ですが…5 キライなことば勢揃い』(文藝春秋2001 p.226「内心ジクジ」)。高島氏が気づいたのは「十年ほど前から」とのことで、たとえば1995年5月の読売新聞に
〈中村監督は「オマリーにことごとくやられている」と忸怩たる思いを抱き続けてきた。〉
という例があるなど、「腹立たしい思い」「ふんまんやるかたない思い」の意で使われているといいます(なお、『大辞林』第2版によれば「忸怩」は「自分のおこないについて、心のうちで恥じ入るさま。」)

先日「週刊現代」などという雑誌を読んでいますと、次のようにありました。
 降格させられた関氏は、「まだ大学に籍がある」とうことで今回、取材に応じてもらえなかったが、前出の教授によれば、「一OBとして一心をなげうって改革に取り組んできたのに何たること」と忸怩{じくじ}たる思いでいるという。(「週刊現代」2005.12.03 p.55)
これは「腹立たしい思い」「ふんまんやるかたない思い」の典型例でしょう。

国会会議録検索システムで今年の(衆参すべての)議事録から拾ってみると、「忸怩たる」が「腹立たしい」〜「もどかしい」などと思われる意味で使われている例が数例出てきました。以下にそのうちの2つを記します。
平成17年02月01日 参議院 予算委員会
○国務大臣(中川昭一君) 今の野上委員の御指摘でございますが、あらゆるところで私は申し上げているつもりでありますが、なかなか朝日新聞の方がきちっとした報道を、その以降も報道をしてくれないというじくじたるものがあるわけでございますが、簡単に事実関係を申し上げさせていただきます。(=腹立たしい・もどかしい?)

平成17年07月26日 衆議院 青少年問題に関する特別委員会
○水島広子委員(民主党・無所属クラブ) もうお金も時間も限られているわけですから、そこはもう一つ一貫した思想を持ってきちんと取り組んで、それでようやく間に合うかどうかというところではないかと思っていますので、非常にじくじたる思いでいるわけです。(=もどかしい・焦燥に駆られる?)
このデータベースを使えば、かなり古い例が拾われるかもしれません。

posted by Yeemar at 21:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 語彙一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

世界一受けたい授業

これも「日本語番組」に含めていいでしょう。2005.10.29は篠崎晃一氏が「ネーミング」について、2005.11.19は山口仲美氏が「オノマトペ」について講義したようです。残念ながら見逃しました。他分野の講師の話もおもしろそうで、ふだんも見れば、ベストセラー本を買わずにすむかもしれません。

以下は、以前に見たものです。ホームページに詳細があるため、扱われた語のみ簡略に記録します。

2005.07.23 日本テレビ
●「世界一受けたい授業・1億人の国語算数理科社会教養 夏休みスペシャル」
http://www.ntv.co.jp/sekaju/student/20050723.html

堺正章/くりぃむしちゅー ゲスト・西城秀樹/片瀬那奈/劇団ひとり/はしのえみ/三倉茉奈/三倉佳奈/高畑淳子/久本雅美/細山貴嶺/伊集院光

1時限目・国語・日本語知ってるつもり?!(金田一秀穂)
・語源を問う:〈初級編〉「おまけ」「ありがとう」「いただきます」「ごちそうさまでした」「明後日(あさって)」〔「明日が去った後→明日がさった後→明日あさっと→あさって」という説明はいかがなものか? だいいち「あさっと」とは何?〕「おしゃれ」〈上級編〉「几帳面」「シカト(しかと)」〔伊集院光さんは「花札の紅葉の十点札が語源」と正答。物知りなり〕「ブス(ぶす)」「朝っぱら」

・変化した言葉問題:〔問題の古語が、今のどういう語に痕跡をとどめているか〕:「左様」「飯櫃(いいびつ)」「ヲコ(をこ)」「波残り」「御器かぶり」
posted by Yeemar at 00:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 放送記録および予定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月24日

今日はいっしょにお国ことばで語り合おう!

最後の五分ほどだけ聞きましたが、二十三日の午前中にNHK第一で、「今日はいっしょにお国ことばで語り合おう!」という番組をやっていました。
http://www.nhk.or.jp/nagoya/kotoba/index.html
ゲストは国研の吉岡泰夫氏。
 女優…あき 竹城
 タレント…風見しんご
 タレント…彦摩呂
 シンガーソングライター…伊藤 秀志
 タレント…オレンジ
 【司会】飯田紀久夫
posted by 岡島昭浩 at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送記録および予定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月23日

三宅式こくごドリル

日本語を扱う定時番組の1つです。以下、今週のものについて記録します。

2005.11.22 テレビ東京
●「三宅式こくごドリル」
http://www.tv-tokyo.co.jp/kokugo/index.html

司会・三宅裕司/ボビー・オロゴン 進行・大江麻理子(テレビ東京アナウンサー)
解答者・ゴルゴ松本/杉浦太陽/パパイヤ鈴木/山口もえ/乾貴美子
ゲスト・近藤泰弘

1.シリトリックス 漢字2文字のシリトリゲーム/前の人の書いた漢字に1文字加えて熟語を作る
「田植木材料理科学校門」
2.こくごドリル1 「パパイヤ→蕃瓜樹」「案山子→かかし」「曲者→くせもの」「2つ以上の物事が食い違ったり調和していないこと→○ぐ□ぐ(ちぐはぐ)」「万に一つを狙って無理矢理想像すること→や○□ん(やまかん)」「熟語完成 運□ 任□ □中(命)」「むぼう→無謀」「興味しんしん→津々」
3.ボビーの単語帳 よこはまコスモワールド 単語の意味を通行人に聞く「おなか切って痛いのに甘い私の好きなお菓子とかケーキとかくれたりとかすること(ありがた迷惑)」他
4.ジュクゴン 「上から落ちてくる漢字と下の漢字で2文字の熟語を作ってね。90秒間ですべての文字を消せばゲームクリアだ」
5.君だけに問題 「極光→オーロラ」
6.ことばパレードへんつく お題に出た部首を含む漢字を書く 他の人と重なったらアウト〔苦しまぎれに見たことのないような漢字を書く人もいる。適否はおそらくゲストの研究者が漢字辞書で調べるのでしょう〕
7.こくごドリル2 共通の文字を足して熟語を完成「(火 上)と(自 欠)」「(羽 字)と(源 水)」/計算式からできる2文字の熟語「(日×2)+口+合=?」「五+(口×2)+言+玉=?」/映像をヒントに「灰汁→あく」「御強→おこわ」「自棄酒→やけざけ」/「捗る→はかどる」
posted by Yeemar at 17:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 放送記録および予定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

タモリのジャポニカロゴス

「視聴記録」のとりわけこのあたりの続きです。

定時番組となった「タモリのジャポニカロゴス」(フジテレビ)の、2005.11.22の放送を見ました。

内容は、特別番組の時に比べて薄くなっているよう。これはやむをえないかもしれません。

1.辞書がおもしろい!?
新明解国語辞典の語釈をおもしろがるコーナー。というよりは、例文のおもしろさを紹介するコーナーとなっている。この辞典の場合、一見おかしな例文は、べつに作例ではなくて、文学作品・新聞記事等からとった用例が多いはずです。その目で見れば、格別おかしくもないとも言えるのですが、そのことは意識的に無視されているような感じ。これは赤瀬川原平氏の『新解さんの謎』でも同様。今回は、「騒ぐ」「ふとした」「ぶくぶく」を取り上げた。

2.あいまい恋愛語 違いがわかる?
今回は「1 相手を独りじめしたいのはどっち?(愛/○恋)」「2 不愉快なのはどっち?(○イチャイチャ/ベタベタ)」「3 本当はOKなのはどっち?(やめて!/○いや!)」。2と3は釈然としない。3は、「直接表現優位の法則」によって、「いや」のほうが強いとのことですが、さて……。この点は以下の新聞記事の感想に同感です。
「ただ出演者も口にしていたが、言葉そのものより、言い方や表情の影響が多分にあるような気がした。そこまできちんと押さえてもらえれば、「生きた言葉」として実際に使ってみる気になるかもしれない。」(朝日新聞2005.11.22テレビ欄「試写室」葉山梢記者)

客員教授(ゲスト)は町田健・名古屋大学教授。金田一秀穂氏がずっと出るのかと思いましたが、そうではなく、「日本語学、言語学、新語・現代語などの専門分野からお招きする客員教授の解説を受けながら」(番組ホームページ)進めるようです。とすると、毎週見ていれば、自然に多くの研究者の顔を覚えられるわけです。

テレビ東京「三宅式こくごドリル」も同様に交代制のようで、安田尚道氏(2005.11.15)、近藤泰弘氏(2005.11.22)らが出演していました。
posted by Yeemar at 17:17| Comment(0) | TrackBack(1) | 放送記録および予定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

「きずみ」「キズミ」「傷見」(Posted by km)

ごぶさたしております。以前、「小駒勝美」の名で書き込みをしていましたが、今後は「km」と名乗りたいと思います。よろしくお願いいたします。
「辞書にないことば」に以下の文を書き込みたく、よろしくお願いします。

「きずみ」「キズミ」「傷見」
目にはめたり、物の上に置いて使う拡大鏡のことです。「日本国語大辞典」「広辞苑」「大辞林」には掲載がありません。
http://watch-tool.net/battery-exchange/loupe.html

幸田文の「手づまつかい」の中に以下の文があります。『ちぎれ雲』(講談社文芸文庫より。原文は旧仮名遣いと思われます)

「前夜、床へ普通の耳へかける眼鏡ときずみと本一冊とを持ち込み、けさ父は自分でそれらを茶の間へ持って起きて出て来ている。食事が済むと父ははばかりへ、私は煙草盆とその三品を父の部屋の机へいつもの通りに置いてきた。間もなく父に呼ばれて、きずみだけが足りないことを云われた」
(原文は「きずみ」に傍点)
Posted by km at 2005年11月22日 16:45
posted by 岡島昭浩 at 17:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 辞書にないことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

整々粛々(静々粛々)

粛々と・・・」の続きです。

「せいせいしゅくしゅく」に関し、「国会会議録検索システム」で(「々粛々」などで)検索すると、「静々粛々」は1950年の例が、「整々粛々」は1977年の例が拾われます。用字は、記録者が適当に当てはめたものでしょうか。

1977年の「整々粛々」は、宇野大臣が原子力船「むつ」の去就に関して連発していますが、3月22日に中村委員が「これは総理大臣が言ったので、長官もそれを受けて、そのとおりのお言葉をお使いになったんだろうと思うのでありますけれども」とあり、これは当時の福田赳夫首相がそう言っていたものと考えられます。

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「せいせいしゅくしゅく」の用例(探しえたものすべて)

昭和25年04月03日 衆議院 考査特別委員会
○上村宗平証人(イズベストコーワヤ地区引揚者) だから今度はもつと〔帰還梯団が〕静々粛々と帰還するようにというぐあいな何かが出ております。

昭和29年11月17日 衆議院 労働委員会
○三段崎俊吾参考人(旭加工株式会社社長)〔ストライキ、ピケツト・ラインは〕他人の権利を尊重しつつ自己の権利を主張するために、静々粛々と行わるべきものでございましようが、

昭和52年03月12日 衆議院 予算委員会第一分科会
○宇野〔宗佑〕国務大臣(科学技術庁長官) 〔原子力船「むつ」が〕あくまでも整々粛々と青森を出て、佐世保に整々粛々と入りたい、これが私の今日の方針でございます。
○谷口是巨分科員(公明党・国民会議) 先ほどの長官の「むつ」に対する問題、佐世保に対する問題も、整々粛々という言葉を使われて、私は非常に意味深長だと思うのですけれども、どのような整々粛々なのかよくわかりませんけれども、
○宇野大臣 だからやはり政府としては、出る方も入る方も整々粛々といたしたいものである、これが政治である、こう考えておるわけであります。
○谷口分科員 知事の答弁が県民代表なので、それを尊重していくとおっしゃっているようですが、それがまさか長官のおっしゃっている整々粛々じゃないと私は思うのですよ。整々粛々という言葉を使われておるけれども、それは、あくまで反対と言う者が納得できて、

昭和52年03月16日 衆議院 科学技術振興対策特別委員会
○宇野〔宗佑〕国務大臣(科学技術庁長官) 青森県を整々粛々と出て、そして長崎県に整整粛々と入りたい、もうこの一言であります。

昭和52年03月22日 衆議院 決算委員会
○宇野〔宗佑〕国務大臣(科学技術庁長官) ただ、せっかく受け入れていただくためには、やはり整々粛々と入りたいものでございまするから、
○宇野大臣 そのためには、「むつ」がどういうふうな姿で整々粛々と青森を出て、そして整々粛々と長崎に受け入れられるかということは、
○中村重光委員(日本社会党) その場合に強行入港もあり得るのかということに対しては、総理大臣の意図もそうであるから整々粛々と、大変古びた言葉ではあるのでありますけれども、これは総理大臣が言ったので、長官もそれを受けて、そのとおりのお言葉をお使いになったんだろうと思うのでありますけれども、整々粛々と入りたいということでありましたが、長官の言う整々粛々とはどういう意味なのか。強行入港はいたしませんということをはっきりおっしゃるのか、それを聞いてみたいと思います。
○中村委員 それに対して整々粛々と入港する、強権を発動するというようなことは政治じゃない、

昭和53年10月17日 参議院 内閣委員会
○秦豊君(社会民主連合) まさか万全の構えで整々粛々と〔有事立法の〕議論を進めてきた、出すべきショック療法をやってきたとまではおっしゃらないと思うんだが、

昭和55年11月27日 参議院 内閣委員会
○秦豊君(新政クラブ) あなた方はいま防衛研究、奇襲対処、有事法制、日米ガイドラインに基づく作戦研究、あらゆるものを整々粛々と総合作戦のように展開しているわけだ。

昭和61年10月24日 衆議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会〔賛成の討論〕
○久間章生委員(自由民主党) 安全第一に、整々粛々と、スムーズに移行がなされなければなりません。

昭和61年10月28日 衆議院 本会議〔賛成の討論、上と同文(!)〕
○山下徳夫君(自由民主党) 安全第一に、整々粛々と、スムーズに移行がなされなければなりません。
posted by Yeemar at 03:08| Comment(1) | TrackBack(0) | 辞書にないことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月19日

来沢、来広 #

来沢、来広」の続きです。

宮城県は松島の瑞巌寺で、「駕籠 江戸時代」が展示してあるのを見ました。その説明書きに
……瑞巌寺住職が公用で上仙{じょうせん}する際{さい}等{など}に用いられた
とありました。仙台に上ることですね。
posted by Yeemar at 17:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 辞書にないことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

つい読んでしまう

つい読んでしまっていた」の続きです。

尾崎紅葉の紹介する読み間違いの例をいくつか。

セミコロンK/言偏に水
▲字に就いては蒙求の出来る話は、さる席上で碌堂君の語られたには、甞て一外人から訊ねられた事がある、町を行{ある}くと諸処の店頭{みせさき}にスクリイン様の物が出てゐて、其にセミコロンK{ケー}と書いてあるが、那{あれ}は何であらう、因{そこ}で頻に考へたが更に解らぬ、段々聞糺して見ると、氷水屋の日除暖簾で、セミコロンK{ケイ}は即ち氷の字、
次いで桜痴居士の物語に、乃父{だいふ}の長崎で支那人に質疑されたのは、日本には言扁に水と云ふ字があるやうに身受けるが、那{あれ}は何等の字か、とばかりでは是も解らなかつた、書いて見せられたので路の字と知れたのである、成程お家風に書けば、足扁も言扁も同一{ひとつ}で、水と各{おの/\}との省画{くづし}に用捨が無い、〔原文総ルビ〕(尾崎紅葉「新あぶら柄杓」〔1898-1899年発表〕『紅葉全集 第十巻』岩波書店 1994.11.29 p.256-257)
スーアフーエウ
煙草ヒーローの横看板を見て一口一匕{ひとくちひとさじ}と読み売薬と覚えし人あり、T生予の病を訪{と}ひて病人には風月堂のスーアフーエウこそ好けれと明日は持つて来させんとやがて贈り来れるを見れば Sugar Wafer 也。〔原文総ルビ〕(尾崎紅葉「スーアフーエウ」『紅葉遺文』〔1910年刊行〕『紅葉全集 第十巻』岩波書店 1994.11.29 p.395)
posted by Yeemar at 16:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 「誤用」「誤植」など | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月16日

「バードウォッチング」と言い出した人

松田道生『野鳥をよむ』(アテネ書房 1994)に

「日本で最初のバードウォッチングの入門書である。これ以前にも野鳥観察の方法を説いた本は、あるにはある。しかし、バードウォッチング(本書ではバードワッチングといっているが)と、カタカナで銘打ったのは、この本が初めてである。」
「この本の出版を契機に、野鳥観察からバードウォッチングという言葉が一般的になり、飛躍的にバードウォッチングが知られるようになった。」

等々と紹介される「本書」「この本」は、岩本久則『岩本流 野鳥観察手帳』(山と渓谷社 1978)。他にも称賛の言葉があるのですが、あまり引いては差し支えそうですのでこの辺りにて。
「趣味は?」と問われて「野鳥観察です」では重くて大事(ごと)のようです(なぜか刑事ドラマの「張り込み」を連想)。が、「バードウォッチングです」なら気軽に口にでき、趣味らしい感じもする。やはり「言い換え」に効果はあるようです。
posted by satopy at 02:04| Comment(2) | TrackBack(0) | この人が作った | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月08日

道浦さんの「見え隠れ」

http://www.ytv.co.jp/announce/kotoba/back/2301-2400/2336.html#1
「みえかくれ」か「みえがくれ」か、です。
私の感覚では、「−に」だと「みえがくれ」(濁)、「−する」だと「みえかくれ」(清)という気がします。
posted by 岡島昭浩 at 12:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 語彙一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月06日

日本語ボーダーライン

これも、日本語テストの番組です。出演者はTBS特番「日本語チャンピオン決定戦'05」と重なっていました。中川秀直代議士や、乙部綾子さん(ライブドア広報)なども出ていて、「だれでも出ているなあ」と思いました。

田島さんが
> それから何の番組だったか、「二の舞を演ずる/踏む」のいずれが正しいか、という問題を出題して、「演ずる」を正解としていました。
とおっしゃるのは(こちら)、この番組のことでしょうか。

「汚名挽回」は、この番組では誤りとされています。この語が誤りとされるようになったのは、平成16年度「国語に関する世論調査」の結果から推測すると、今の30〜20代の人が学校に行っていたころのことでしょう。しかし、高島俊男『お言葉ですが…5』p.85には、川越市・高山盛次さんの「汚名挽回」擁護論が記され(「頽勢〔劣勢〕を挽回とも言う」なるほど!)、北原保雄編著『問題な日本語』および『続弾!問題な日本語』p.90では「「名誉挽回」も「汚名挽回」も正しい言い方」と記されています。

「この言い方は間違い!」という決めつけが、人々のことばコンプレックスに悪影響を与えている一例だと思います。

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2005.10.09 テレビ朝日
●「合格!日本語ボーダーライン」
http://www.tv-asahi.co.jp/tokuban/2005aki/contents/article/0024/

・16歳から80歳までの男女1万人に出題
・国民1万人の正解率に芸能人が挑みます

司会・所ジョージ・今田耕司
解答者・赤井英和/ウエンツ瑛士/小木博明(おぎやはぎ)/乙部綾子/勝俣州和/かつみ〓(かつみ〓さゆり)/金子貴俊/KABA.ちゃん/熊田曜子/黒沢年雄/児嶋一哉(アンジャッシュ)/佐藤弘道/〓さゆり(かつみ〓さゆり)/柴田理恵/清水ミチコ/笑福亭笑瓶/高田万由子/田丸麻紀/土田晃之/出川哲朗/中川秀直/西川晃啓(レギュラー)/馳浩/ビビる大木/藤村俊二/ほしのあき/松本康太(レギュラー)/森下千里/八代亜紀/矢作兼(おぎやはぎ)/山田花子/吉田秀彦/レイザーラモンHG/脇知弘/渡部建(アンジャッシュ)

(〔 〕は補足。×は、誤答例・誤り選択肢。?は、誤りとされた誤答例・誤り選択肢で、私には疑問の例。※は私の一言)

〈冒頭の問題〉〔かわいい孫が〕愛嬌(×愛想)をふりまく
〈練習問題・送りがな〉預かる/必ず/危ない/謝る/燃やす/争う/荒らす/幼い

・スタジオの芸能人30人の中から10人を選出 国民1万人の正解率48%の場合5人正解でクリア

〈送りがな〉少ない/湿る/暖かい
〈練習問題・読み方〉口腔外科/幅員減少/寄席/在庫僅少/廉価版/御芳名/約款/忌中/享年(※実際の街の字をVTRで示しており好感が持てた〔もっとも捏造を含むか?〕)
〈読み方〉月極(※国民の正解率92%、スタジオも全員正解)/作務衣/迂回路/鍼灸院
〈練習問題・選択〉アイツは風上(×風下)にも置けない奴だ/汚名返上のため頑張るぞ(?汚名挽回のため頑張るぞ ※上の注記参照)/舌先三寸(×口先三寸)人を丸め込む/念頭に置く(×入れる)/二の舞を演じる(?二の舞を踏む ※『今様こくご辞書』参照)/その女優が極め付き(?極め付け)の名演技を見せた/勝利の公算が大きい(?高い)/陣頭で指揮をとる(×ふるう)/焼けぼっくい(×焼けぼっくり)に火がつく/碁を打つ(×指す)

明海大学・山本陽史教授(中継出演)「よく間違えるのは、やはり『汚名挽回』ですね。『挽回』っていうのは『失った物を取り返す事』なんですね。ですから汚名を挽回すると、また汚名が来ちゃうということで、正しいのは『名誉挽回』っていう言い方がいい」
所ジョージ「ちゃんと理にかなってるんですね。われわれ、間違って使っても通じちゃうんですよね。そこがいけないね」
→異論については冒頭の注参照。

〈選択〉ついに彼は伝家(×天下)の宝刀を抜いた/身内に足(×足元)をすくわれる/時期尚早(×早尚)/初優勝を決めて一躍脚光を浴びた(×集めた)/彼女は押しも押されもせぬ(×押しも押されぬ)人気作家だ
〈練習問題・読み方〉円ら(国民の正解率18%)/戦く(13%)/荒む(38%)/連む(17%)/労う(30%)/労る(16%)/徐に(19%)/怠い(7%)/健か(したたか ※「強か」なら分かるが、これは知らなかった。『大字源』にあり。2%)
〈読み方〉予め(36%)/焼べる(※くべる ATOK17になし。17%)/強か(13%)
〈練習問題・選択〉〔期待に心が〕躍る/〔限界を〕超える/〔危険を〕冒す/〔会議で資料を〕配付(×配布)する/協力態勢〔を整える〕/〔失敗の責任を〕追及する
〈選択〉心身〔を鍛える〕/〔距離を〕測る

矢作兼「(冗談で)両方あるよね。どっちが間違いだ、絶対には言い切れないすよね」
今田耕司「言い切れます。ちょいちょいおかしなこと言うね」
所ジョージ「そんな半端な問題出さないから」
→なかなか、自信満々であります。

〈選択〉冷え性〔で困る〕/大勢〔のファンが集まる〕/〔田舎に〕とんぼ返りする
〈練習問題・選択〉筆が立つ=文章を(×字を)書くのが上手い/天地無用=上下を逆さまにしてはいけない/失笑=おかしさに耐えきれず笑うこと(×人をバカにして笑うこと)/おもむろに=ゆっくりと(×すばやく)/遺憾に思う=残念に思う(×申し訳なく思う ※政界では後者の意味、と中川代議士)/刹那に=瞬間に(×悲しげに)/暮れなずむ=なかなか日が暮れないでいる様子
posted by Yeemar at 17:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 放送記録および予定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

総本山

(あれ?新規の書き込みはこれでいいのでしょうか?)

「バチカン」のことを、
「カトリックの総本山」
と呼ぶことがありますが、「総本山」はもともと仏教の用語だと思います。(密教、山岳密教から?)
これがカトリックにも比喩的に用いられたのは、いつからなんでしょうか?やはり明治以降なのでしょうか?
ご存知の方、ご教示ください。

Posted by 道浦俊彦 at 2005年11月05日 20:27
posted by Yeemar at 00:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 語彙一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月05日

しりとり

SKinsui's blogで、〈国語学者によるしりとり〉というのが話題になっています。

 これは、参加者の意識によって変わるものと思われます。ラリーを楽しむか、やっつけるか。という違いですね。

やっつけよう、と思えば、「縷々」「ルール」「ルゴール」「ルクソール」などで、押さえつけるでしょうし、ラリーを楽しもうとすれば、「孜々」「獅子」「子思」……「紳士」「真摯」……「しかし」「色紙」「しばし」と続けるでしょう。

同音異義語は使えない、というルールが制定されるかもしれません。そうでなくとも、きっちりとしたルール制定が必要でしょうね。「臨時一語」とか複合語はどうするか。固有名詞をどうするか。現代語に限るか、限るならどうするか(「近代以降の用例の見付からないものは駄目」とか)。同一語の異形態は使えない、というようなルールも必要であるように思えますが、この「同一語」の定義も難しそうです。「コンピュータ・コンピューター」はよいとして、「バディ・ボディー・ボデー」はどうだ、とか。

ルール制定に、何時間も掛かりそうです。たとえテレビ局が用意したとしても、不備が多く、それを埋めるのに議論が必要でしょう。テレビルールでは、商品名等(と同音の語)も駄目、ということになるでしょう(そうでもないか*)。したがって「縷々」は使えない。


そういえば、SKinsuiさん(とここでは呼ばせていただきます)とは、「競技しりとり」というのがあってもよいのではないか、と話したことがありました。「競技かるた」があるように。

通常のルールはどうなのでしょう。「ん」以外のルール
 付属語は駄目(自立語のうち、用言は認められる? 副詞は? 連体詞は多分駄目。)
 固有名詞のうち人名は駄目。地名も細かいのは駄目。
 方言・訛語は駄目(ただし全国的に知られている方言は可?)
 擬声語擬態語の臨時的なものは駄目。

競技として定めるには、詰めるべきところが多く残っていそうです。

また、「最長のしりとり」をコンピュータに作らせる、というアイデアについても話しました。
用意された単語ファイルを、なるべく沢山使ってしりとりを作ってゆくというもの。使われない単語を減らすためにはどういう順番にしたらよいか。

とりとめなくなりましたが、しりとりについて。
posted by 岡島昭浩 at 23:05| Comment(6) | TrackBack(0) | ことば遊び | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

朝鮮語(韓国語)と日本語

朝鮮語(韓国語)は、日本語と似ていると言われますが、留学生諸君の話を聞いていると、意外な違いがあることを教えられます。

・「では、○○さんに登場していただきましょう」とは言わない
朝鮮語に「チュダ」という動詞はあり、「(……して)やる(あげる)」「(……して)くれる(くださる)」という意味は表すことができる。しかし、「(……して)もらう(いただく)」という意味は表さないので、「〜ていただきましょう」という言い方は朝鮮語にないわけ。

「パリを案内してやってくれ」、「(私のギャグを)笑ってやってください」のように「やる」+「くれる」を重ねる言い方もないようです。
posted by Yeemar at 20:26| Comment(1) | TrackBack(0) | 日本語と外国語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

驚くべきロシア語

このカテゴリ名について。「『日本語と外国語』などという大胆すぎる書名には警戒が必要である。」(小松英雄『日本語はなぜ変化するか』笠間書院 p.11)とのことですが、まあ、お許しいただきましょう。

さて、ラジオでロシア語を習い始めて、もう2、3年になります。すぐ挫折し、しばらくたってやり直すという繰り返しです。

素人には、なかなか驚くことがいっぱいです。理由が分からないこともあります。それらを思いつく限り列挙しようと思います。堪能な方にとってはお笑い草ですが……

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・基本語が異様に長い
日本語では、「見る」「聞く」「言う」「話す」など、基本語は音節数が短いというのがふつうだと思います。上記の語は英語でも「look」「hear」「say」「talk」と1音節です。ところが、ロシア語ではそれぞれ「スマトリエーチ(смотреть)」「スルーシャチ(слушать)」「ガバリーチ(говорить)」、そして、「話す」に至っては「ラズガバーリバチ(разговаривать)」と、ずいぶん長くなります。それだけ聞くと、どんな難解な専門用語かと思います。これでは、日常の用を足すにも、ずいぶん口を動かさなければならず、不便ではないでしょうか。どこで帳尻を合わせているのでしょう。

・「п」(p)で始まる語が異様に多い
日本語の辞書は、「し」で始まることばが最も多いのではないかと思います(漢語に「し」「しゅう」「しょう」などで始まるものが多いから)。ロシア語の場合、「п」(p)で始まる語が異様に多く、『博友社ロシア語辞典』を横から見ると6ミリほどに達します。2位(?)の「с」(s)はせいぜい3.5ミリほど、他の文字は3ミリに達しません。前置詞の「по」(…を、…に沿って)がくっついたものが少なくないせいかと思いますが、それだけではないようです。

・むずかしい「че」「це」「те」の区別
「че」「це」は簡単で、それぞれ「チェ」「ツェ」という日本語で表しうると思います。前者は[t∫e]、後者は[tse]でしょう(正確には、それらの子音が口蓋化したものと思います)。

では、「те」は? 日本語の「テ」([te])ではなく、子音は[t]の口蓋化した音のようです。「те」は、耳で聞くと「チェ」のようにも「ツェ」のようにも聞こえます。「че」「це」と区別できません。

そもそも、口蓋化した[t]とは何でありましょうか。思うに、英語の「tea」というときの[t](ティーではなくチーのようになる、しかし決して[t∫i:]ではない音)ではないかと思い、今のところは、「tea」の子音を思い浮かべながら「т」を発音しています。
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2005年11月04日

日本語チャンピオン決定戦'05

TBS「クイズ!日本語王」の元となった特集番組だと思います。「○か×か」で一刀両断にする姿勢には賛成できません。「両方正解ではないか」「ほかにも正解があるのでは」という例が多くありました。たとえば1人でも「爆笑」する例、以下には里見トンの例を示しておきました。

1位は、西川史子さん。南原「日本語に西川さん詳しいんですか」西川「頭いいんですよ」……というわけで、「知識がある=頭がいい」ということになっているようです。

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2005.10.18 14:00 TBS
●「日本語チャンピオン決定戦'05 史上最大の全国統一国語テスト」(2005.06.29の再放送)
http://www.tbs.co.jp/nihongo05/

司会・ウッチャンナンチャン/竹内香苗(TBSアナウンサー)
解答者・飯島愛/カラテカ・入江慎也/ウエンツ瑛士/海江田純子/角田信朗/小林恵美/だいたひかる/出川哲朗/ドン小西/西川史子/レギュラー・西川晃啓/パンチ佐藤/藤吉久美子/北斗晶/ほしのあき/松嶋初音/松野明美/レギュラー・松本康太/宮川俊二/室井佑月/薬師寺保栄/安めぐみ/カラテカ・矢部太郎/山咲トオル/山田玲奈/山本一太/優木まおみ/ラサール石井/ルー大柴/若林史江

・「赤十字」を小学生の2人に1人は「あかじゅうじ」(文部科学省調べ)
・日本語ブーム→「『問題な日本語』の著者・文学博士の北原保雄先生に、日本人として知っていなければならない日本語に関する問題を作ってもらい、全国民的日本語テストを開催します」
・問題数は100問
・平均点 小学生=39点、中学生=43点、高校生=47点、東大生=71点、全国1万人テストの平均点=52点
・成績トップには賞金! 100点ならば100万円

〔出題された日本語〕
(〔 〕は補足。×は、誤答例・誤り選択肢。?は、誤りとされた誤答例・誤り選択肢で、私には疑問の例。※は私の一言)
第1ブロック 選択
危機一髪(例題)/未だに〔独身〕(?今だに)/絶体絶命/応対〔が丁寧だ〕/浮動票/自画自賛/一堂〔に会する〕/揚げ足〔を取る〕(?上げ足)/気休め・気安め〔を言うな〕(×気易め)/梨のつぶて(?無しのつぶて)/書き入れ時
第2ブロック 読み方を書く
境内/老舗/凡例(×きれつ)/灰汁/〓(こけら)落とし/時化/逆上せる/松明(×しょうみん)/間髪〔を入れず〕/態と
第3ブロック 選択
不快な気持ちを表情に出すこと=眉をひそめる/にっこりと微笑むこと=笑みがこぼれる(×笑顔がこぼれる)/ちょっとした言葉やしぐさを会話などにはさむこと=合いの手を入れる(×合いの手を打つ)/手がかりがなくどうすることも出来ない様子=取り付く島もない/物事の肝心な部分をズバリとらえていること=的を射た意見/企業などが優秀な人材を得るため学生を早々と採用すること=青田買い/状況を判断する能力がすぐれていること=目端が利く(×目鼻が利く ※ATOK17でも誤用表示にあり)/高熱で意識がはっきりしないこと=高熱に浮かされる(?高熱にうなされる)/スキをつかれて失敗させられること=足をすくわれる(×足元をすくわれる)/激しく怒ること=怒り心頭に発する
第4ブロック 書き取り
健〔康〕/鼻〔をかむ〕(※「洟をかむ」は?)/萩〔の花〕/網〔ですくう〕/博〔士〕(※「はかせの『はか』」とアナウンス)/腹〔話術〕/栽〔培〕/〔相〕撲(※「『すもうをとる』の『もう』とアナウンス)/〔殺〕到/〔完〕璧
第5ブロック ○×〔マルバツ〕で解答
「朝からさいさきが悪いな」×/「〔簡単すぎる仕事は〕僕には役不足です」○/「今年は台風の当たり年だな」×/「〔仕事を手伝ってくれない人が〕情けは人のためならずって言いますもんね!」×/「〔日本酒好きの人が〕俺は生粋の辛党だもんね」○/「〔勘定の時「財布がない」と言う人に」〕それ確信犯じゃないですか」×/「〔会議でアイデアが出ない〕すっかり会議が煮詰まっちゃった感じだな」×(※うまくまとまる=○、いき詰まる=× しかし後者の意味もあるのでは?)/「さわりの部分だけだよ〔と絵本の冒頭を読む〕」×/「〔売り上げを伸ばせと〕率先して檄を飛ばしちゃってるね」×/「〔太めの女性に対し失言した人に〕完全に小林さんの琴線にふれちゃいましたね」×
第6ブロック ○×で解答
「〔雨降りの日に〕朝から雨模様か」×/「〔落ち込んだ新人社員を見て〕課長に怒られて憮然としてるわ」○/「私のかかりつけの美容師さん紹介しようか」×/「ひきょうな手を使うわね 本当に姑息な男ね」×/「お姉ちゃんと弟か 一姫二太郎ね」○/「〔恥ずかしがっている女性に〕花も恥じらう乙女って感じね」×/「〔プロジェクト撤退の〕もうしおどき〔潮時〕だと思いますよ」×/「〔上司を色仕掛けで籠絡する女性に〕若いからって色気を見せてんじゃないわよ」×/「油断もスキもないわね 気が置けないんだから」×/「一人で爆笑しちゃった」×(※1人に用いる例=「相手の爆笑に合わせて、笑いは笑ったものの」里見トン『極楽とんぼ』岩波文庫 p.55)
第7ブロック 選択
ブルドーザー(×ブルトーザー)/ベッド(×ベット)/コミュニケーション(×コミニュケーション  ※ATOK17でも誤用表示にあり)/ジャンパー(×ジャンバー)/バドミントン(×バトミントン)/レクリエーション(×リクリエーション)/ナプキン(×ナフキン)/〔遊びの〕ボウリング(×ボーリング)/アボカド(×アボガド)/ティーバッグ(×ティーパック)
第8ブロック ひらがなで書く
さようなら/あじわう/たいいく〔体育〕/こんにちは/ゆいいつ〔唯一〕/やむをえない/へえ〔感動詞〕/ぞうっとした(※擬声・擬態的描写は現代仮名遣いの例外では。「ぞーっと(ぞおっと)した」も可なるべし)/じっぷん〔10分〕/おまちどおさま
第9ブロック 選択
有終〔の美を飾る〕/遺憾〔に思う〕(×遺感)/〔至難の〕業(×技)/利いたふう〔なことを言う〕/泥仕合/〔崖っ〕縁(×淵)/丸坊主(×丸坊頭)/社交辞令(×社交辞礼)/解熱剤(×下熱剤)/活〔を入れる〕(×喝)
第10ブロック 選択
人生最大の窮地に立たされる(×窮地に落ちる)/酸いも甘いもかみ分けた(×嗅ぎ分けた)人だ/うろ覚え(×うる覚え)の歌を口ずさむ/枯れ木も山の(×花の)にぎわい/枝も(×実も)たわわにリンゴがなった/雪辱を果たす(×晴らす)/監督が采配をふる(×ふるう)/きずなが強まる(×深まる)/被害を受ける(×こうむる ※いずれにせよ重言では?)/上には上がある(×いる)
posted by Yeemar at 18:01| Comment(4) | TrackBack(1) | 放送記録および予定 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月23日

「〜だったと思う」と「〜だと思った」

私が「〜だったと思う」としか言いそうにないところを、「〜だと思った」という言い方をしているものに、時折出会います。
過去のこと(など、「た」で言うところ)について、判断を下しているのは現在、というような場合においてのことです。


どんぴしゃりの用例ではないかもしれませんが、次のようなの。
「ふさ子さん、たしかいまは……」
と、マダムが店の名を告げた。
「その店は、どういうところ」
「よく知らないけど、アルサロみたいなところじゃないかしら」
「その店でも、やはりふさ子という名前だろうか」
「たしか、そうだと思ったわ
(吉行淳之介「探す」(『私の東京物語』文春文庫p206)

これは「過去について」というわけではないけれど、私だったら、「そうだったと思う」というところです。

世代差なのか(私は四〇代なかば)、地域差なのか(私は福岡生まれ)。
あるいは、口頭では言わなくとも、文章ではそう書くものだとして書いているのか、とも思いましたが、関西の人が、「たしか、そうだと思った」と言っているのを聞いて、「今はどう思ってるんだ」と不安に思ったことがあるのを思い出しました。

posted by 岡島昭浩 at 20:40| Comment(8) | TrackBack(0) | 文法一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「コールドゲーム」(スポーツニュースで)

「コールドゲームが宣告された」というのは、本来的には重言(馬から落馬)でしょう。「コールドゲーム」が「宣告されたゲーム」なわけですから。重言を避ければ、「主審によって試合終了が宣告され、このゲームはコールドゲームとなった」とでもすべきところでしょうか。


「ゲームが成立して終了」を宣告するときに、主審は手を差し上げながら何というのか。私は「ゲーム!」というものだと、何となく思ってきました(「called "Game"」?)。昨夜たまたま見た際には「ゲームセット」と言っているようでもありました。
posted by 岡島昭浩 at 10:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ニュースで目についたことば | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月19日

「この後」と「その後」

道浦さんの発題につなぎます。
「この後」と「その後」
 道浦俊彦
 - 05/10/19(水) 16:10 -
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ふと、不思議の思ったことがあります。
「この後」
という言葉は、副詞的には、
「このあと」
としか読めず「このご」とは言わないのに(「この後に及んで」とは言うが、これは名詞)、なぜ、
「その後」
という言葉は、
「そのあと」「そのご」
の2通りの読み方があるのでしょうか???
『日本国語大辞典』を見ると、「このご(此の後)」ということばもあります。
*浮雲(1887-89)〈二葉亭四迷〉二・一一「母親が此後(コノゴ)何様(どん)な言(こと)を云ひ出しても、決してその初の志を悛(あらた)めないと定ってゐれば」
ほかに樋口一葉・国木田独歩の例も。明治には使われていたのでしょう。一方、「そのご(其の後)」も、明治からこっちの例しか載っていません。明治時代には、「このご」「そのご」が仲よく使われていて、対称をなしていたのでしょう。

すると問題は、今は「このご(此の後)」がなぜ使われなくなったのか(少なくとも一般的でなくなったのか)、ということになるでしょう。その理由は、「こんご(今後)」に吸収されたから、と見てはどうでしょうか。音も似ていますし。一方、「そのご(其の後)」の類語に「じご(爾後)」がありましたが、今ではあまり使われなくなりました。

つまり、ちょっと前ならば
  こののち このご こんご(今後)・きょうこう(向後)
  そののち そのご じご(爾後)
と、多くのことばがあったものが、だんだん整理されてきたという考えではどうでしょう。

なお、「このごにおよんで」は「この期に及んで」ですから、別のことばですね。


posted by Yeemar at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 語彙一般 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする